ボフダン・ジナの抗議の結果 写真はオープンソースより

クリミアはどのようにロシアの占領に抵抗しているのか?

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ロシア軍がクリミアを占領したのは2014年に遡り、ここからロシアがウクライナへの侵略を始め、2022年にはウクライナの全領土に対して侵略を試みています。クリミア半島がロシアのものであるという神話があり、「ルースキー・ミール」の支持者がいる一方で、ウクライナを支持している市民も常にクリミア半島に暮らしていました。戦争が勃発した時には、クリミア半島の住人の一部がウクライナ領に移住しました。しかし、ウクライナ人の中には、不法に拘束され、投獄される危険を冒しながらも、クリミア半島に残り、ロシアの占領に抵抗する者もいます。

セヴァストーポリの石油備蓄基地の爆発 写真:UNIAN

ウクライナのシンボルマークを普及させる活動

ウクライナを支持する立場を示す最も一般的な方法のひとつが、国家シンボルです。ロシアが本格的な侵略を開始してから一年が経過した日に、セヴァストーポリのグラウシカ・プリースタニ(伯爵の桟橋)のアーチに青と黄色の旗が掲げられました。

セヴァストーポリのグラウシカ・プリースタニのアーチに掲げられたウクライナの国旗 写真はオープンソースより

2023年3月、スダーク近郊フルシウカの携帯電話基地局にウクライナの国旗が掲揚されました。ウクライナ軍南部作戦管区「ピウデニ」報道官ヴラディスラウ・ナザーロウ大佐は、ウクライナの国旗はロシアの侵略に対する抵抗のシンボルの一つであり、ロシアによる刑事訴追や圧迫にもかかわらず、抵抗は強まっているだけでなく拡大していると指摘しました。

抵抗シンボルとなっている「Ї」の文字 写真はオープンソースより

また、「黄色いリボン」運動のメンバーは、クリミアはウクライナの一部であることや、ウクライナ軍がクリミアが近づきつつあることを占領軍に思い出させることを目的にし、ウクライナのシンボルを描いています。2023年には、シンフェローポリ、セヴァストーポリ、ヤルタ、ケルチでそのようなイラストが目撃されました。

ロシア軍内における活動のメンバーたち活動「アテシュ」とは

2022年9月、ウクライナにおける一時占領地とロシアで活動する武装活動のメンバーたち運動「アテシュ(クリミア・タタール語で「火」の意味)」が創設されました。この組織はクリミア・タタール人、ウクライナ人、ロシア軍に動員されたロシア人で構成され、占領軍の拠点や倉庫の位置をウクライナ軍に通報し、破壊工作を行い、ロシア軍を内部から破壊するために活動しています。

「アテシュ」運動のシンボル 写真はオープンソースより

2022年11月、運動のメンバーはシンフェローポリの軍病院に入院していた30人の占領軍兵士を排除しました。12月には、ソヴェツケ村のロシア軍の拠点を焼き払いました。2023年1月、メンバ―は、セヴァストーポリからシンフェローポリの道路を移動していたロシア国家親衛隊の将校2人を排除しました。2月、彼らはシンフェローポリ近郊の鉄道路線を爆破しました。2023年2月初めの時点で、組織のデータによると、ロシア軍やロシア国家親衛隊として活動している人数は2千人に達しました。

2023年5月、「アテシュ」のメンバーはイェウパトーリヤ近郊のモロチュネ村にあるロシア軍の主要要塞に潜入しました。彼らは、黒海からのウクライナ軍の上陸を阻止する敵の態勢をチェックし、ロシアの防衛の状態と射撃ポイントの位置を調べました。

イェウパトーリヤ近郊の占領軍の防衛施設 写真はオープンソースより

さらに運動のメンバーたちは、ノヴォロシースク-クラスノダール高速道路とクラスノペレコプシクで、戦線にロシアの兵器・弾薬・燃料が移送される様子を記録しました。彼らは、ロシア軍がクラスノペレコプシク飛行場のウクライナの都市を砲撃しているS-300システム(射程300kmのソ連製対空ミサイルシステム)を守る占領軍に対して破壊工作を行いました。メンバーたちは、ウクライナに対して戦争を仕掛けている侵略軍に武器を供給することは許されないと主張しました。

その後、5月18日には、バフチサライ近郊で鉄道路線が爆破され、しばらくの間、セヴァストーポリ-シンフェローポリ間の移動と、下ドニプロ地方およびザポリッジャ地方、タウリヤ地方へのロシア軍兵器の移送が不可能となったことが報告されました。

占領軍の兵器が鉄道で輸送されている様子 写真はオープンソースより

燃え尽きた車両 写真はオープンソースより

その他にも、運動のメンバーたちは敵の装甲兵員輸送車の燃料タンクに砂を入れて装甲兵員輸送車を無効化したり、偵察を行ったり、占領下の行政を監視したりしています。

占領軍と協力者を妨害する「国民の抵抗」運動

2023年2月から、一時的に占領されているクリミアで「国民の抵抗」という抵抗運動が活動をし始めました。同月、フェオドシヤでは、ロシアの本格的な侵略の象徴である「Z」の文字が書かれた車が活動のメンバーたちにより焼き払われました。この1件だけで終わりではないと彼らは主張しました。さらに、運動のメンバーたちは、占領から解放する準備が行われていると警告しました。彼らは、クリミアを含む一時占領地におけるロシア軍と兵器の位置を伝えることを呼びかけました。

2023年3月、活動のメンバーたちはイェウパトーリヤの海辺にあるロシアの要塞建設現場に入り込み、ビデオを公開しました。2014年にクリミアの地位に関するロシアの偽国民投票が行われた日である3月18日の前夜、運動のメンバーたちは侵略者たちに攻撃の可能性を警告するビラを配布しました。少し後で、彼らは「国民の抵抗」運動のシンボル(「Idea of the Nation」の印)を、占領を支持している人の車に塗装しました。

クリミアにおける占領当局への協力者の摘発と除去
「クリムシキ・ボヨヴィ・チャイキ(クリミアの戦うカモメ)」とは

一時的に占領されたクリミア半島では、2022年9月に「クリムシキ・ボヨヴィ・チャイキ(クリミアの戦うカモメ)」という抵抗運動が活動を開始しました。運動のメンバーはウクライナを支持するビラを配布し、敵の座標をウクライナ軍に伝達し、「クリミアはウクライナであり、ロシア人や裏切り者はクリミアでは歓迎されない」ということを主張しています。

ウクライナ軍支援のコラージュ 写真はオープンソースより

9月に運動のメンバーたちは、イェウパトーリヤの行政機関に青と黄色のペンキを撒いたクリミアの政治犯ボフダン・ジザの件を公表するよう求めました。そのメンバーは、ジザの釈放を早めるために、ハッシュタグ#FreeBogdanZizaとともにジザに関する動画をソーシャルメディアで拡散するよう呼びかけました。

2022年10月、メンバーたちは一時的に占領されたセヴァストーポリで敵の座標をウクライナ軍に伝達し、、そしてウクライナを支持するクリミア人はクリミアに存在していてロシア軍を監視していることから、侵略者たちに逃げるように助言しました。

同年11月、運動のメンバーは、ウクライナ人とクリミア・タタール人に違法な判決を下しているセヴァストーポリの似非裁判官イーゴリ・ブラジュニクに「気を付けた方がいい」と警告しました。「カモメ」は、その裏切り者の住所と電話番号を知っており、彼の居場所は特定されていると述べました。

「もうすぐクリミアにウクライナ軍がやってきます」 クリミアのあるフェンスに描かれたイラスト 写真:Novynarnia

2022年12月、活動家たちは、ヤルタの「市長」で侵略者に対する協力者であるヤーニナ・パウレンコの監視を開始したと発表しました。

2023年1月には、ロシアによる本格的な侵略の開始と同時にウクライナ人を殺害しに来たロシアのイジェフスク市出身の占領者アレクセイ・ヴェリョーフキンの連絡先を公表しました。

同年3月と5月には、ロシアの本格的な侵略のシンボルである「Z」の文字が書かれた何台もの車が、シンフェローポリで「クリミアの戦うカモメ」により焼き払いました。

4月、活動家たちはセヴァストーポリにあるロシア軍の施設を攻撃しました。そのための情報収集を行い、情報提供者を雇い、クリミア半島中を駆け巡りました。ちなみにですが、活動家たちは4月29日、黒海艦隊にウクライナ国旗が掲揚された記念日に敵の標的を攻撃しました。

1918年4月29日
セヴァストーポリでは夕方6時までに、戦艦、巡洋艦、一部の駆逐艦では赤旗が降ろされ、ウクライナの国旗が掲揚されました。ウクライナ人民共和国の艦隊に関する暫定法は、ロシア黒海艦隊はウクライナ人民共和国艦隊となると宣言しました。しかし、黒海沿岸の都市におけるウクライナ政治運動の活動は、ボリシェヴィキによる地方行政機関の占拠により不可能となりました。

クリミアにおける平和的な抵抗
「黄色いリボン」

2022年4月に創立された「黄色いリボン」運動は、侵略者に抵抗する上で非常に重要な役割を果たしています。スロボダ地方・ザポリッジャ地方・タウリヤ地方など、国内のすべての占領地で活動しているため、非常に大規模な抵抗運動です。そのメンバーたちは街頭でウクライナを支援するビラを配り、青と黄色の旗を描き、一時占領地がウクライナのものであることを人々に思い出させます。2022年、この運動はウクライナの抵抗運動の重要な一部としてサハロウ賞を受賞しました。

「黄色いリボン」運動のイラスト 写真はオープンソースより

2022年5月、活動家たちはシンフェローポリで平和的な集会を呼びかけ、故郷への権利を主張し、クリミア・タタール人強制送還の犠牲者を追悼し、ロシアの侵略を非難し、ウクライナの主権を支持しました。

7月、黄色いリボンは「クリミアよ、故郷に帰る時だ」と名付けた無期限のキャンペーンを開始しました。活動家たちは、ロシアによるウクライナ人の大量虐殺を忘れることは不可能であり、8年間もこのキャンペーンを行うことを待ち望んでいたと主張しました。彼らは黄色いリボンを掲げ、「EVorog」というTelegramボットでロシア軍の動きを報告するよう呼びかけました。

8月、クリミアの親ウクライナ派住民は、協力者であり半島の自称トップであるセルゲイ・アクショノフの逮捕に対して23万ドルの報奨金を出すと発表しました。彼らはまた、アクショノフの正確な居場所に関する情報にも報酬を支払うと約束しました。

ウクライナの裏切り者であるセルゲイ・アクショノフ 写真はオープンソースより

2023年3月、「黄色いリボン」運動は、クリミアの住民にロシア軍への不法徴兵を避けるよう呼びかけ、そのためのアドバイスを含んだ記事を掲載しました。運動参加者たちは、占領は一時的なものであり、クリミアの人たちは再び民主的な国家に住むことになると主張しました。

また、運動のメンバーはケルチとアルシタなどといったクリミアの各都市でウクライナを支持するビラを掲載しています。クリミア半島北部やシンフェローポリ、セヴァストーポリでは、愛国的なイラストが描かれ、黄色いリボンが飾られました。

ウクライナ支援のメッセージがイラストされたバス停 写真はオープンソースより

占領軍による抑圧にもかかわらず、親ウクライナ派の活動家たちは自分の立場を表明しています。2023年5月に「黄色いリボン」運動は、ウクライナを支持するビラを配ったり、ウクライナ支持に関するイラストを描いたり、黄色いリボンを飾ったりした運動のメンバーであるヴィオレタがロシア連邦保安庁に拘束されたことを報告しました。ロシアの特殊部隊は、ヴィオレタから自白を強要し、親ロシア派の立場を押し付けようとしました。ヴィオレタはやむを得ずクリミア半島からウクライナ本土に移住しましたが、自分の考えを変えることはありませんでした。

「黄色いリボン」運動の参加者のヴィオレタ 写真はオープンソースより

ロシアのプロパガンダがどんな情報を広めようとも、9年間の占領を経ても尚クリミアには多くのウクライナの愛国者たちがいます。彼らはクリミア半島の解放を待ち望んでおり、侵略者による抑圧にもかかわらず、さまざまな方法でウクライナ軍に貢献しています。活動のメンバーたちは、一時的に占領された地域における親ウクライナ派住民の士気を高め、占領軍にパニックを引き起こし、彼らの戦うモチベーションと能力を低下させています。

「クリミアはウクライナです」 クリミアのイラスト 写真:Ukrinform

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翻訳編集:

藤田勝利

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